宮本 博

京都府山科

  • 陶器

― 伝統に息を吹き込み、清水焼の未来を紡ぐ ―

京都・山科の清水焼団地に窯を構える陶芸家・宮本博さん。
伝統をそのまま守るのではなく、そこに新しい息を吹き込むように、日々の作陶を続けています。

江戸期の名陶・尾形乾山への敬意から生まれた「写し」シリーズでは、
古典の美を丁寧に踏まえながら、自身の感性を重ねる宮本さんらしさが光ります。
一方で、日常の器づくりでは、確かな技術と自由な発想を生かし、
固定された作風にとらわれない柔軟な表現を追求しています。

また、書道家や和歌研究者との共同制作にも積極的で、
言葉と線、陶と詩——異なる表現が交わることで、
器の中に「余白の美」が生まれています。

刺身や煮物といった和の料理を、静かに、しかし確かな存在感で引き立てる宮本さんのうつわ。
その背景には、清水焼の未来を見据え、弟子の育成にも力を注ぐ姿勢があります。

「面白いことをやりたい」と語るその笑顔の奥に、
伝統を敬いながらも未来へ進む、京都の職人の気概が感じられます。

プロフィール

1958年|京焼の窯元に生まれる

1978年|京都市立日吉ヶ丘高校陶芸科卒業

1979年|京都市工業試験場卒

1980年|京展入選・京都府工芸美術展入選

1982年|日展入選・日本新工芸展入選

1983年|中日国際陶芸展入選・日本新工芸近畿展読売新聞社賞・京都府工芸美術展奨励賞

1984年|全関西美術展第一席・京展京都新聞社賞・日本新工芸展新工芸賞

1986年|全関西美術展審査賞

1988年|朝日陶芸展新人賞

1991年|個展(阪神百貨店)

1993年|日本新工芸展会員佳作賞(外務省買上)・ファエンツアビエンナーレ入選

|二人展「日、伊 色の響艶」(ギャリー伯美)

1995年|個展(三越大阪店)

1997年|個展(ギャラリー久里)

1998年|日本新工芸近畿展市長賞

1999年|日本新工芸展審査員・全関西美術展審査員

2003年|個展(高島屋大阪)

2005年|日本新工芸近畿展商工会議所会頭賞

宮本 博の作品